資本主義社会を破壊せよ
労働が嫌いだ
私は労働が嫌いだ。
今でこそ東京でシステムエンジニアなるものをやっているが、かつては本気で働かない道を模索したこともある。
決まった時間に起きて、決まった時間に家を出て、決まった通勤路を使って、決まった席に座って、決まった時間働いて、一週間を繰り返す。
よくもまあみんな心が錆びつかないものだ。
そもそも一週間が7日であるのに勤務日数が5日というのがもうおかしい。按分もできんのか。だいたい労働基準法では「週40時間」と決められているのであって「週5日」働くことは求められていない。さらにいえばその40時間もあくまで上限値なわけで、別に1時間だろうが1秒だろうが構わないはずである。
で、その法律が時代を経るごとに経営者からすると都合が悪くなってきたから、裁量労働やら、ホワイトカラーエグゼンプションやら、サマータイムやらあの手この手で労働者の時間を削り取ろうとしてくる。
それが現代日本の労働環境だ。
仕事と労働は違う
システムエンジニアとかいうブラック職業の代名詞だからこんな愚痴を書いている、というわけでは必ずしもない。
「この会社クソだな」「このプロジェクトそのまま燃えてなくなっちまえ」などなど思ったことはあるが、システムを開発したりコーディングしたりする実務そのものは私にとってはなかなか楽しいものなのだ。天職とまではいえないが、まあ適職なのかも…とは思えるくらいにそれなりにやれている。
私の場合「働きたくねーなー」という想いを抱えながらも、実家が裕福なわけでもない、ヒモになれるほど女の扱いもうまくないとなると日々のおまんまのために働かざるをえなかった。
よく好きなことを仕事にすべきかみたいな問いが出てくるが私の場合
自分ができる(できそう)こと × 自分が楽しめること
を基準にした。その基準で選んだのがシステムエンジニアだったというだけのことだ。
金を稼ぐなら少しでも楽しい方がいいし、そこにかける労力は少ない方がいい。
この2点をはきちがえなければそれなりに自分に向いた仕事が見つかるだろう。
だが社会というのはどうしてこうも不条理なのか。仕事をするには環境が必要となる。
そう、それが会社だ。
仕事をする環境を提供してもらう代わりに、我々労働者は時間と成果物を差し出す。これが労働だ。
悪化し劣化した労働環境で何を踏ん張る?
戦後、社会インフラや教育が行き届いていない時代においては、国民ひとりひとりができることの範囲は小さかったし、楽しめることを追求できるだけの余裕はなかっただろう。
だから資本をもった、あるいは頭が切れる優秀な一部の人間が指示を出して大多数の国民を働かせることが日本の経済成長を起こすひとつの理由であった。メインはいわゆるライン工のような1時間の間に100個生産する、みたいな労働だ。
だが経済成長も陰りをみせ、貿易摩擦やバブル崩壊といった社会変動、そしてグローバル化の波とIT技術のコモデティティ化で労働環境はがらりと変わった。
それは悪い方向へ。
派遣業務の対象拡大によって非正規が増加した。個人情報保護を理由として自社に業務を持ち帰れず、客先常駐がメインになった。採用を抑制したことで特定の年代がいないというドーナツ化現象が起きた。
経済が冷え込んだことによる労働環境の悪化。
泥沼だろう。
ドラマなんかでは小さな町工場や会社が資金繰りに苦しんで次不渡りを出すと倒産だーなんていってなんとかしようとするみたいなシーンがあるけど、あれってものすごく無意味な悪あがきにすぎない。
少なくとも従業員にとってはさっさと会社をたたんでもらうか会社都合クビをきってもらうほうが雇用保険や再就職の面でよっぽどやりやすかったりする。
社員を大切に思うならさっさと会社から解放してやれ、ということだ。
話が少し脱線してしまった。
今ほとんどの企業では人員不足や経営のスピードがあがったことに影響を受け、業務の効率化を常に意識している。AIやらロボットやらだ。だがもうあえて言い切ってしまおう。これらの業務効率化は失敗する。
何が私を幸せにしてくれるのか
なぜ失敗すると私が言い切るか。
あえてセンセーショナルな口ぶりで書いたが、もう少し補足を加えるとコスト削減・人件費削減の観点で業務効率化を図ると失敗するというほうが適切だろう。
目先のコストをカットしたところでジリ貧だということだ。
うまくいく効率化は「ロボットができることはロボットにやらせ、人間にしかできないことにリソースを割く」というのがもはや定説だ。
だが世間一般ではそこまでいけばいいのかもしれないが、私はそうは思わない。
なぜ人間がさらに働かなければならないのか。
人間にしかできないこと? そんなもの人間が仕事にあぶれないための余計なブランディングだろう。ロボットが働いた分、人間はおもいっきり楽をして遊びましょうという人がいないのはなぜだ。
私が違和感を覚えるのはそこである。労働至上主義。その背後にあるのは黴が生えた資本主義だ。
記事が少し長くなった。続きは後日。